民藝のものづくりが息づく土地、鳥取をめぐる旅の第2回。
鳥取には民藝と切っても切れない存在がありました。
鳥取の民藝の振興を語るとき、忘れてはならない人がいます。
それは民藝運動のメンバーでもあり耳鼻科医でもあった、吉田璋也という人物です。吉田璋也は医師として働きながら、故郷・鳥取の民藝をプロデュースし、山陰に残されていた手仕事の数々を広めるために尽力しました。
#01【鳥取民藝の旅1日目】たくみ割烹店と福光焼の窯元をめぐり東郷池へ より
2日目は東郷池のほとりにある宿からはじまります。
午前中に倉吉、午後は鳥取市に戻って3ヶ所の窯元さんに伺いました。
それでは旅の続きをお届けします。
倉吉白壁土蔵群
東郷池から車で20分ほど。平日朝9時の倉吉白壁土蔵群はとても静かです。
この日も雨が降ったり止んだりしそうな天気とあって、他の観光客の姿はほとんど見当たりません。
倉吉白壁土蔵群は倉吉駅から少し離れた打吹山のふもとにあります。打吹山には城跡があり、市役所や博物館も近く、古くからの市街地であることがうかがえます。
倉吉白壁土蔵群は近くを流れる玉川の周囲にある伝統的な建物を保存してあるエリアで、江戸時代や明治時代の風情を思わせるような景色が広がっています。
屋根は山陰でよく見られる朱色の瓦屋根、壁は白い漆喰と焼いた杉板の黒い腰壁で統一されていて、とても絵になる光景です。
土蔵蕎麦
大正時代に建てられた蔵の3階にある老舗蕎麦店。
1階には民芸TAKAKIがあり、山陰を中心に各地の民芸品を購入することができます。
中2階には画廊があるようなのですが、到着が早かったためかこの日は見られませんでした。
細い階段を上って3階へ。のどごしの良い美味しい蕎麦をいただきました。
ごちそうさまでした。
COCORO STORE
鳥取をはじめ、山陰の手仕事を集めたセレクトショップ。
山陰の自然と共に生きる人や技、繋がりこれらの素材を紹介します。
COCOROSTOREHPより引用
陶器のほか、鍛造、型染、玩具、和紙、ガラス、木工、ジュエリーなど、素材は問わず、山陰の手仕事の品を購入することができます。
クラフト館 岩井窯
倉吉を後にして、昨日来た道を戻ります。鳥取砂丘を越え、さらに東へと向かっていくと、兵庫県との県境に近い岩美町にあるのがクラフト館岩井窯です。
岩井窯は鳥取で生まれた山本教行さんが約50年前に開窯した窯元です。
山本さんは高校生の頃、鳥取民藝の立役者である吉田璋也氏と出会い、その後、バーナード・リーチ氏と出会ったことから陶芸を志します。
柳宗悦と共に民藝運動をしていた二人との出会いをきっかけに、島根県の出西窯へ弟子入りし、その後、この地に窯をつくられました。
クラフト館には「作品展示館」「参考館」「喫茶HANA」があり、コーヒーを飲みながらひとときゆったりとした時間を過ごすことができました。
この日は参考館がやっていなかったので、また再訪したいと思います。
中井窯
鳥取市街地から智頭方面へ車で約30分。鳥取市河原町に到着しました。
小高い山と田んぼ、そして清らかな小川が流れるのんびりとした雰囲気の地域です。
中井窯は1945年に開窯後、民藝運動を牽引した吉田璋也の指導によって「新作民藝」を手掛けていきます。
2000年代からは、プロダクトデザイナーの柳宗理のディレクションもおこなわれ、人気の高い窯元です。
中井窯と言えば、緑・白・黒の掛け分けのデザイン。翡翠のような鮮やかな色は、見ていて明るい気持ちになってきます。
民藝のものづくりでありながら、新しさも感じさせるモダンな意匠は時代が変わっても多くの人に愛されています。
牛ノ戸焼窯
牛ノ戸焼窯は中井窯と同じ河原町にある天保年間から続く窯元です。
このあたりは近くを流れる曳田川が良質な土を運んでくるのだそうです。
家の目の前にある土地から土を掘り、粘土を作るところから焼成から施釉まですべて一貫して工房でおこなっています。
暮らしとものづくりが隣りあって存在しているということが、当たり前にそこにはありました。
牛ノ戸焼窯は江戸後期から続く古い窯元ですが、一時はものづくりが途絶える危機に瀕していました。
そうしたタイミングで吉田璋也との出会いがあり、新作民藝を手がけるようになっていきました。
牛ノ戸焼窯でもモダンな掛け分け皿を作っていますが、こちらは少し落ち着いた色合いの緑色の釉薬がかかっています。
訪問した際は登り窯や仕事の様子も見せていただき、とても貴重なお話を伺うことができました。
また別の記事で詳しくご紹介します。
1日目の旅はこちら
1日目は倉吉市の福光焼や東郷池周辺を巡りました。
3日目の旅はこちら
続きはこちらから↓
comming soon…
・鳥取砂丘
・邯鄲堂
・鳥取民藝美術館
・たくみ工芸店
・温泉
まとめ
2日目は山陰の手仕事と民藝のゆかりの地をめぐることができました。
しかし、山陰は本当に見るべきものがあり、時間の都合で諦めた場所もたくさんあります。
今回の旅を通じて、これまでよりもっと鳥取が好きになり、時間をかけてじっくり滞在してみたいと感じるようになりました。
次回は最終日3日目の旅をお届けします。
アクセス情報
倉吉白壁土蔵群
クラフト館岩井窯
因州・中井窯
※要予約
牛ノ戸焼窯元
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