2023年2月24に開催されたSeto Open Factory 2022 vol.4に参加しました。
今回は午前中に窯元見学・午後は商店街のまち歩きという内容の濃い1日です。
長くなったので前後編でレポートします!
前編は今では貴重なスクリーン転写技術を使って磁器の食器を作られている双寿園さんと、絵付けの原料になる呉須を扱っている水野商店さんのお話です。
後編UPしました!↓
Seto Open Factoryとは
Seto Open Factory(以下、オープンファクトリー)とは日本屈指の焼きものの街である愛知県瀬戸市の窯業関係者の方が開催されているイベントです。
窯元さん、型屋さん、陶磁器の卸会社さんなど、さまざまな方向から焼きものの業界に携わっている方が運営されています。
このイベントでは運営されている方の工房に実際に伺って、陶磁器が作られる過程を見学したり、体験したりすることができます。
1年に4回ほど開催されていて、回によって見学先もさまざまなので、毎回新しい発見があるのが魅力です。(私は今回3回目)
うつわを実際に作っている過程をじっくり知りたいという方におすすめのイベントです。
当日の流れ
little flower coffee
双寿園
水野商店
もやいやでランチ
CONERU
綱具屋SETORe トークイベント
当日は尾張瀬戸駅から徒歩5分ほどのせと銀座通り商店街に集合してスタートです。
little flower coffee
最初に訪れたのは2022年4月に開店したオシャレなコーヒー専門店のlittle flower coffee(通称リトフラ)さん。
little flower coffeeでは自家焙煎のブレンドコーヒーとお店で焼き上げたバームクーヘンや焼き菓子がいただけます。
今回は実際に焙煎機を見せていただきながら、コーヒーについてもいろいろ伺いました。
こちらではコーヒーの焙煎をやっている方向けにシェアロースターのサービスも展開されているそうです。
焙煎前の生のコーヒー豆も見せていただきましたが、意外にも甘い香りにはびっくりしました。
双寿園
商店街を出て瀬戸川を渡り、徒歩で双寿園さんに向かいます。
双寿園は昭和28年に創業し、今年で70年になる窯元さん。
磁器と強化磁器の2種類の土を使い、飯椀や湯飲みなど丈夫で使いやすい食器を生産されています。
さっそく工房の中を見学させていただきました。
飲食店や旅館などの大口注文にも対応するため、効率化できる機械と手仕事の部分を併用しています。
1日に1000個以上のうつわを作ることもあるそうです。
手描きと、今では少なくなったスクリーン転写などで絵付けをしていきます。
手描きの絵付けをする職人さんも昔はもっとたくさんいたそうです。
仕上げた分だけ収入になるため、正確に手早く仕上げる腕利きの職人さんも多かったのだとか。
いまでは窯元が減少したために、絵付けができる方も貴重な存在です。
手描きでは大変な複雑な模様はスクリーン転写で絵付けをします。
効率化できるところは機械を導入しながらも、ひとつひとつの工程の細かな調整はやはり長年の経験があってこそ。
限られた時間の中で、変わらない品質のうつわを何百、何千と生産できるというのはすごいことだと感じました。
一通り見学した後は2班に分かれてご近所の水野商店さんへ。
水野商店
水野商店さんではうつわの絵付けに使う原料を扱っています。
釉薬の調合は焼かれる温度や出したい色合いによって細かく調整されているそうで、その微妙な配合は水野さんにしかできないものもあるのだとか。
白いさらさらの呉須から鮮やかなコバルトブルーに発色するなんて不思議です。
水野さん曰く、昔は従業員もたくさんいたけれど、最近はスクリーンの技法を使って生産する窯元も減ってきたので、原料や転写シートなど生産に必要なものを供給していた個人商店もどんどん減ってきてしまったそうです。
うつわは窯元だけでなく、原料となる土や釉薬、その他の機械や道具など、さまざまなものを作っている人がいるから私たちの手元に届くのだと改めて感じました。
そういう意味では、原料が取れて、生産もできて、販売に至るまですべてが地域の産業として発展してきた瀬戸はやはり面白い街だと再認識もしました。
まとめ
再び双寿園に集合した後は、窯出しを見学。
隙間なくぴったりと積まれた食器が焼きあがって窯から出てきました。
普段何気なく使っている食器が、多くの過程と多くの人の手を介して手元に届いていることを改めて知る良い機会となりました。
また、機械を使って効率化している中にも、長年の経験があるからこそできる細やかな調整や技術があることも印象的でした。
そこにはたしかに、毎日使っている機械や道具との呼吸のテンポがあるような気がしました。
見学をさせていただいた皆様、ありがとうございました。
長くなったので後半の商店街篇は次の記事でご紹介します!